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ガイド

クリッピングさせずに曲の音圧を上げる方法

音の大きさは、リミッターよりもミックスで決まります。まず測り、低域を整え、それからトゥルーピークの上限を設けてマスタリングすれば、どこもクリップしません。

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まず、どちらの「大きい」かを決める

「大きくする」には2種類あり、それぞれ対処法が違います。1つ目はレベルです。間に何も挟まず、スピーカーから曲がそのまま大きく出ます。2つ目は、ストリーミングサービスがレベルを揃えた後で、ほかの曲と並べたときにどれだけ大きく聞こえるかです。今ではほとんどのサービスが、デフォルトでこの調整をしています。

デフォルト設定のSpotifyは、音楽を-14 LUFSで再生します。そのため、それより大きく測定されるマスターは、差の分だけ下げられるだけです。レベルをさらに押し上げても、そのリスナーにとって曲が大きくなることはありません。ノーマライザーが返してくれないダイナミックレンジを失うだけです。このプラットフォームの詳細はSpotifyのノーマライゼーションの仕組みで説明しています。

つまり、ストリーミングサービスで市販の作品と同じくらい大きく聞こえさせたいなら、この先の作業は、同じ測定レベルで曲がどれだけ大きく感じられるか、つまりバランス、低域、音色の問題になります。ノーマライゼーションのない場所も含め、どこでも大きく鳴るファイルが目標なら、同じ作業を先に済ませ、マスタリングはその後です。

何かを変える前に、まず測る

現在地を教えてくれる数値は2つです。LUFSで表す統合ラウドネスは、曲全体の長さを通した大きさです。dBTPで表すトゥルーピークは、再生のために波形が復元されたときに到達する最も高い点です。無料のLUFS・トゥルーピークメーターなら、完成したファイルからブラウザ上で両方を読み取れます。アップロードは不要です。

測るのはミックスバスではなく、書き出したファイルです。世に出るのはファイルだからです。次に、気に入っている市販曲を同じ方法で測ります。自分の曲のほうが小さく測定されるなら、上げる余地があります。ほぼ同じ値なのに小さく聞こえるなら、答えはマスタリングではなくミックスにあります。

耳でも、音量を揃えて比べてください。2つのバージョンでは、大きいほうが最初の数秒はほぼ必ず良く聞こえます。リミッターを押し込みながら自分をだましてしまうのは、まさにこのせいです。両方が同じ値になるまで大きいほうを下げてから、判断してください。

音量を上げるとクリップする理由

デジタルファイルには、0 dBFSという越えられない上限があります。それを超えそうなサンプルは平らに切り取られ、この平らになった状態がクリッピングです。曲の音量を上げすぎたときに聞こえる、ザラついた歪みのことです。

上限には、ほとんどのメーターが示すよりも早く達します。ファイルが保存しているのはサンプルで、その間に復元される波形は最も高いサンプルを超えることがあります。そのため、サンプルピークのメーターでは一度も0 dBFSに触れない曲でも、D/Aコンバーターや非可逆エンコードでクリップすることがあります。マスターをトゥルーピークで測るのはこのためです。違いはLUFSとトゥルーピークの違いで説明しています。

実際上の結論はこうです。曲の中で最も大きい数ミリ秒が、それ以外の部分をどこまで上げられるかを決めます。その数ミリ秒は、たいていドラムのアタックと低域です。

音の大きさはミックスで決まる

マスターに挿したリミッターが上げられるのは、ミックスが許す分だけです。多くの人が求める「もう少しの大きさ」の大半は、ミックスでの4つの判断から生まれます。

  • 低域をコントロールする。ミックスの中で最もエネルギーが大きいのはたいていベースで、キックと合わせてピークの大半を決めています。ベースとキック以外のすべてのパートから低い不要な成分をカットし、キックとベースが重なり合わずに低域を分け合うようにします。低域が整理されていれば、同じピークのまま曲全体を上げる余地が生まれます。
  • 中域に存在感を持たせる。人の耳が最も敏感なのは中高域で、声やほとんどの楽器の存在感はここにあります。そのため、この帯域のエネルギーは、超低域のエネルギーよりはるかに強く大きさとして感じられます。スタジオモニターでは迫力のあるミックスが、スマートフォンでは小さく聞こえるのはこのためです。
  • 鋭すぎるトランジェントを抑える。ほかのすべてよりはるかに高いピークを持つスネアがあると、そのための余白を作るために曲全体を下げなければなりません。ドラムに軽くコンプレッションをかければそのピークが下がり、残りを上げられます。
  • アレンジをすっきりさせる。同じ帯域でぶつかり合う2つのパートは、聞いてわかる大きさを増やさずにレベルだけを増やします。どちらかを外すと、測定値は下がっているのに曲が大きく聞こえることがよくあります。

リスナーが最も注意して聴くパートについて、中域の扱い方はボーカルEQのやり方で解説しています。

次にマスタリング:コンプレッション、それからリミッティング

ミックスのバランスが取れたら、最後の数dBはマスタリングで加えます。次の順番で行います。

  • まずは軽く、まとまりを出す。ミックス全体に軽いコンプレッションをかけると、セクション間のレベル差がならされ、リミッターの負担が減ります。
  • リミッターの上限はトゥルーピークで設定する。トゥルーピーク対応またはオーバーサンプリングのリミッターを使い、上限を-1 dBTPにします。これはSpotifyが求める上限で、-14 LUFSより大きいマスターには-2 dBTPを求めています。大きい曲ほど、ストリーミング用にエンコードされるときに歪みやすいからです。
  • 入力は少しずつ上げる。上げながらドラムを聴いてください。キックとスネアのパンチが失われ始めたり、曲がポンピングし始めたりしたら、レベルを上げる価値のある地点を越えています。少し戻してください。
  • 書き出したファイルをもう一度測る。ラウドネスとトゥルーピークを確認し、リファレンスと音量を揃えて比べます。

最も鋭いピークを削るために、リミッターの前にクリッパーを入れるエンジニアもいます。数サンプルの短いクリッピングは、リミッターを強く効かせるより目立たないことがあるからです。実際に使われている手法ですが、やりすぎやすい手法でもあります。どこでやめるかは、目標の数値ではなく耳で決めてください。

どこまで大きければ十分か

唯一の正解の数値はありません。ノーマライズするストリーミングサービスは、-14 LUFSのマスターも、それよりずっと大きいマスターも同じレベルで再生します。そこでは、大きくしてもまったく得がなく、ダイナミクスを失うだけです。何もノーマライズされない場所では、大きいマスターは実際に大きく鳴るので、損得は逆になります。

無難な基本方針は、曲の聞こえ方を基準にマスタリングし、トゥルーピークを上限より下に保ち、レベルを上げると悪くなるところで止めることです。全体の流れはマスタリングのやり方で説明しています。

マスタリングがいちばん早い解決策になるとき

ミックスが完成していて、リミッターの使い方を覚える前にリリースできるレベルにしたいなら、EuphonaのAIマスタリングが、各プラットフォームが公表している数値をもとに、素材と配信先に合わせてラウドネスを決め、処理前と処理後のラウドネスとトゥルーピークの測定値を表示します。フル品質のファイルを購入するかどうかを決める前に、元の曲と音量を揃えた状態で結果を無料で聴けます。

実際によく聞かれる質問

なぜ自分の曲はほかの曲より小さいのですか?

測定値が小さい場合は、ミックスに余地ができれば上げられます。測定値はほぼ同じなのに小さく聞こえる場合は、バランスの問題です。超低域のエネルギーが多すぎる、中域が足りない、あるいは鋭いトランジェントがレベルを押さえ込んでいる、といった原因が考えられます。対処法が違うので、まず測ってください。

リミッターでクリップさせずに曲を大きくできますか?

ある程度まではできます。トゥルーピークの上限を設定したリミッターは、波形がその上限を超えないようにするので、ファイルはクリップしません。ただし、大きさをただで足すことはできません。ある量以上のゲインリダクションは、パンチの喪失やポンピングとして聞こえます。これも種類の違う歪みです。

何LUFSを目指せばいいですか?

ストリーミング向けなら、-14 LUFSを超える必要はありません。Spotifyのデフォルト設定では、それより大きいマスターはこのレベルまで下げられるからです。正しく聞こえるようにマスタリングし、トゥルーピークを-1 dBTP未満に保ち、再生レベルはプラットフォームに任せてください。

TikTokやInstagramで曲を大きくするにはどうすればいいですか?

ほかの場所と同じです。ミックスのバランスを整え、トゥルーピークの上限を設けてマスタリングします。アップロードするとアプリがファイルを再エンコードしますが、トゥルーピークに少し余裕を残したマスターのほうが、限界まで押し込んだマスターよりきれいにそのエンコードを通り抜けます。

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