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LUFSとトゥルーピークの違い:各数値の意味

LUFSは、曲全体を通してどれだけ大きく聞こえるかを測ります。トゥルーピークは、波形の最も高い点を測ります。両方が必要な理由と、どの上限が適用されるのかを解説します。

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結論から言うと

LUFSは、曲全体の長さにわたって測った、曲がどれだけ大きく聞こえるかを示します。ストリーミングサービスは、曲の音量をどれだけ上げ下げするかを決めるのにこれを使います。トゥルーピークは、再生したときに波形が到達する最も高い点を示します。曲が歪むかどうかを決めるのは、こちらです。

一方はラウドネスの数値で、もう一方はヘッドルームの数値です。曲が一方では問題なく、もう一方では問題がある、ということはありえます。だから完成したマスターでは、両方を確認する必要があります。

LUFSが測るもの

LUFSはLoudness Units relative to Full Scaleの略です。放送局やストリーミングサービスが使う規格、ITU-R BS.1770で定義されています。メーターはまずオーディオにフィルターをかけ、耳と同じように重み付けします。ごく低い低音は小さく、中高域は少し大きく数えます。そのうえで、400ミリ秒の短いブロックごとにオーディオのパワーを測ります。

曲全体を測るときは、静かなブロックを除外します。まず−70 LUFS未満のものを除き、次に、残ったもののレベルより10 LUを超えて低いものを除きます。残ったものを平均して一つの数値にしたのが統合ラウドネス(Integrated)です。もっと短い時間の値もあります。短期ラウドネスは直近3秒間、瞬間ラウドネスは直近400ミリ秒間を対象にします。

もう一つ知っておくとよいことがあります。LUFSとLKFSは、名前が2つあるだけで同じ単位です。ITUの規格はLKFSと表記し、EBUとAESはどちらも、2つは同一だとしています。1 LUは1 dBです。詳しい仕組みはLUFSとは:実際に何を測っているのかで解説しています。

トゥルーピークが測るもの

デジタルファイルが保存しているのはサンプルです。1秒あたり数万個の、個別のレベルの読み取り値です。スピーカーに届くのは、そのサンプルから再構築された滑らかな波です。2つのサンプルの間で、再構築された波はどちらのサンプルよりも高くなることがあります。

つまり、最も高いサンプルが、音の最も高い点だとは限りません。サンプルを読み取るメーター(dBFSで表示するサンプルピークメーター)が−0.3を示していても、再構築された波は0を超えていることがあります。こうしたピークをインターサンプルピークと呼びます。BS.1770は、フルスケールに達しているサンプルが一つもなく、近づいてさえいない場合でも、過大入力が起こりうると指摘しています。

トゥルーピークメーターは、再構築される波を推定します。オーバーサンプリング、つまり実際のサンプルの間に追加の点を計算し(規格の方法では4倍の数)、その中で最も高い値をdBTPで示します。dBFSと違い、dBTPの値は0を超えることがあります。

トゥルーピークメーターでも低く読むことがある

4倍オーバーサンプリングは推定であり、正確な波ではありません。BS.1770-5は最悪の場合を示しています。サンプルレートの半分までの成分に対して、4倍オーバーサンプリングのメーターは最大0.688 dB低く読むことがあります。ピークの上限が0ではなく−1 dBTPに置かれている理由の一つです。

2つの数値の関係

2つの数値は別々に動きます。強くリミッティングしたマスターは、トゥルーピークを上限のすぐ下に抑えたまま、LUFSでは大きく測定されることがあります。静かで開放的なアコースティック録音は、LUFSでは低く測定されても、フルスケール近くに鋭いピークを持つことがあります。大きなトランジェントがいくつかあっても、平均はほとんど変わらないからです。

2つの差には名前があります。PLR(ピーク・ラウドネス比)は、最大トゥルーピークから統合ラウドネスを引いた値です。EBU R 128 s2とAES TD1008の両方が定義しています。−9 LUFSでトゥルーピークが−1 dBTPの曲のPLRは8 dB、−16 LUFSでピークが−1 dBTPの曲のPLRは15 dBです。PLRが小さいほど、最も大きな瞬間が平均から目立たなくなります。曲のより多くの部分が、ピークに向かって押し上げられているということです。

PLRは点数ではなく、目標値を定めている規格もありません。マスターの平均レベルと最も高い点の間にどれだけ余裕が残っているかを、一つの数値で見るための方法です。曲全体を通じてラウドネスがどう変わるか(静かなAメロ、大きなサビ)については、別の指標としてラウドネスレンジ(LRA)があります。EBUが定義しており、ダイナミックレンジやクレストファクターと混同すべきではないと注意を促しています。

どの上限がどこで適用されるか

各サービスには、公表されているか、測定から判明している一つのラウドネスレベルがあり、ピークの上限を公表しているサービスもあります。ラウドネスの数値は、再生音量が落ち着く位置です。ピークの数値は、下回っておくべき値です。

  • Spotify:統合ラウドネス-14 LUFS、上限-1 dBTP(-14 LUFSより大きいマスターは-2 dBTP)。Spotifyが、アーティスト向けのガイド「Loudness normalization」で公表しています。
  • Apple Music:統合ラウドネス-16 LUFS、上限-1 dBTP。第三者による測定値です。Appleが−16 dBという数値を公表しているのは、ポッドキャストの要件の中のSound Checkについてだけで、Digital Mastersのガイドでは少なくとも1 dBのヘッドルームを求めています。
  • YouTube:統合ラウドネス-14 LUFS、トゥルーピークの上限は公表なし。第三者による測定値です。YouTubeは、ラウドネスの数値もトゥルーピークの上限も公表していません。
  • 放送(EBU R 128):統合ラウドネス-23.0 LUFS(±0.2 LU)、上限-1 dBTP。EBUがR 128(2023年)で公表しています。放送番組を納品するときのレベルであり、プレーヤーの設定ではありません。

これらの数値の中には、サービスが公表したものではなく、第三者による測定値もあり、どれがそうかはリストに記しています。ディストリビューター向けには、AES TD1008が、非可逆エンコーダーの入力でトゥルーピークが−1 dBTPを超えないよう推奨しています。大きすぎる曲や小さすぎる曲を各サービスがどう扱うかは、ストリーミングのラウドネス目標値で解説しています。

ストリーミングで余分なヘッドルームが必要な理由

ストリーミングサービスがリスナーに届けるのは、納品したWAVではなく、AAC、Ogg Vorbis、Opusといった非可逆エンコードです。非可逆エンコーダーは、圧縮された記述から音を再構築するので、再構築されたピークは、納品したピークより高くなることがあります。BS.1770は、ピークを上昇させうるものの一つとして、ビットレートの削減を挙げています。

どれだけ高くなるかは、エンコーダーとそのビットレートによります。AES TD1008によれば、高ビットレートのエンコーダー(たとえば256 kbps)なら−0.5 dBTPという近い上限でも問題ない場合があり、ビットレートが下がるほどピークは大きく上昇します。エンコードの中でクリップしたピークは、すべてのリスナーが聴くストリームに入り、リリース前にそれを耳にすることはありません。

正しくない5つの思い込み

  • 「0 dBFSを超えるサンプルがないから、クリップするはずがない」 再構築された波は、どのサンプルよりも高くなることがあります。それを測るのがトゥルーピークです。
  • 「LUFSの値が大きいほど、ストリーミングで自分の曲が大きく聞こえる」 ノーマライゼーションがオンなら、サービスのレベルより大きい曲は、その差の分だけ下げられます。結果として、ほかの誰より大きくなることはありません。
  • 「−14 LUFSにマスタリングしなければならない」 Spotifyはそれを提案していますが、外れたからといって拒否されることはありません。より重要なのは、ピークの上限のほうです。
  • 「LUFSとLKFSは別物だ」 同じ単位です。
  • 「ラウドネスレンジはダイナミックレンジのことだ」 ラウドネスレンジを定義しているEBU自身が、ダイナミックレンジやクレストファクターと混同すべきではないとしています。

実際に両方を確認する

  • 書き出したファイルを測る。セッション内のミックスではありません。統合ラウドネスは、完成した曲全体についての値です。
  • サンプルピークではなく、トゥルーピークを読む。DAWがサンプルピークしか表示しないなら、オーバーサンプリングするメーターを使ってください。私たちのLUFS・トゥルーピークメーターは、統合ラウドネス(LUFS)、トゥルーピーク、ラウドネスレンジをまとめて表示し、ファイルをアップロードせずにブラウザ内で動作します。
  • トゥルーピークが上限を超えていたら、最終段のリミッターの出力上限を下げるか、マスター全体の音量を下げて、もう一度測ります。ファイルの中でピークがすでに歪んでいるなら、音量を下げてもそれは元に戻りません。どこで歪んでいるかはクリッピング・ノイズ検出で確認できます。
  • LUFSの数値を追いかけない。音楽に必要なラウドネスを選び、トゥルーピークを上限より下に保ち、再生音量は各サービスに任せます。

Euphonaのマスタリングは、すべてのジョブで両方の数値を報告します。ラウドネス、トゥルーピーク、ラウドネスレンジを、処理の前後で測定します。

よくある質問

トゥルーピークが0を超えることはありますか?

はい。dBTPは保存されたサンプルではなく再構築された波を表すので、すべてのサンプルが0 dBFS未満のファイルでも、+0.5 dBTP以上を示すことがあります。そうしたファイルは、再生時や非可逆エンコードの際に歪む可能性が高くなります。

−1 dBTPで十分ですか?

Spotify、EBU R 128、AES TD1008が、ほとんどの素材に対して使っている上限です。Spotifyは、マスターが−14 LUFSより大きい場合には−2 dBTPを求めていて、ビットレートが低いほど余裕が必要です。納品先のサービスが独自の上限を公表しているなら、それに従ってください。

LUFSとトゥルーピーク、どちらが重要ですか?

再生音量についてはLUFSです。ただし音量はサービスが代わりに決めてくれるので、見かけほど重要ではありません。歪みについてはトゥルーピークで、こちらは納品後に誰かが直してくれることはありません。

トゥルーピークはLUFSの値に影響しますか?

ほとんど影響しません。統合ラウドネスは曲全体の平均であり、短いピークがいくつかあっても、ほとんど動きません。2つを別々に測るのは、まさにそのためです。

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